「福井県年縞博物館」<No.2>
福井県の若狭地方に、名勝三方五湖のーつ「水月湖」(Lake Suigetsu) があるのをご存知だろうか。 その湖底から採取された薄い縞模様の泥の層が「年縞」(varve) である。その層は一年が僅か0.7mmの厚さで、湖底にプランクトンの死骸や黄砂等が年間を通じて明暗交互に堆積し、一枚の縞模様を形成している。この年縞は45m、7万年分の長さで連続して積み重なり、それは世界一の長さを誇っている。この縞模様を分析することによって、有史以前の過去の気候変動や自然災害の歴史を知ることができる。また化石や遺物の年代を特定する「放射性炭素年代測定」の較正にも利用されている。「世界標準の物差し」として国際的に認められている。「水月湖年縞」は年代測定の精度を従来よりも飛躍的に高め、考古学や地質学など様々な研究に貢献している。(福井県年縞博物館資料を参考)
初期人類集団は約20万年前にアフリカで発生した。ホモ・サピエンスは約5万年前にアフリカを離れて、長い年月をかけて世界各地へと旅に出た。やがて日本列島が形成されて縄文人がこの列島に住みつき、狩猟採集的社会生活が営まれてくるのである。若狭地方では1万2000年ほど前のことで、このころ南からの暖流が日本海に流入し、列島に落葉樹が自生し「日本の四季」が始まった。この「美しき日本」はこのようにして歴史を重ね、日本独自の文化を育んできたのである。
今、21世紀初めに作為か無作為か得体の知れないウイルスが世界中を駆け巡り、人類に襲いかかっている。多くの人々が死ぬであろう。歴史は繰り返す。人間は愚かである。
水月湖は周囲を山々に取り囲まれ、人類が生まれる遙か昔よりそこに存在し、ただただ静かに眠り続けるように鎮まりかえっている。人類の在り様はおろか地球の歴史も銀河の変動も、はたまた宇宙の在りようも、誰が知っているであろうか。
福井県年縞博物館正面
年縞
45mの奥行き
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